「弥栄(いやさか)」を採用するの提唱

少年団研究 大正13年7月号第1巻3号



 西洋のボーイスカウトには「団呼(Howl)」という、一の勧呼が決定されている。英国のウルフカブのごときは、集合の時それぞれ「DYB, DYB, DYB」と勧呼する。

 これはお互いに Do Your Best と勧呼するかわりに、その三語の頭文字のD,Y,Bだけを結びつけて DYB と呼ぶのである。

 日本の少年団も「万歳」という、日本共通の勧呼の他に、少年団独特の団呼がなければならぬ。それ故、余は今回我が少年団団兄諸君が欧州に行かれるに当たって、特に希望したいのは、「万歳」の他に少年団呼として「イヤサカ」と云う勧呼を採用すべき一事である。

 三種の神器・・・我が国の徽章は我が民族の有する信条を象徴する唯一のものである。その中の八咫の瓊玉というのは、本義は「弥栄の瓊玉」という意で、天壌とともに弥々栄えるの意を有する神器である。

 「イヤサカ(弥栄)」の思想は、古本最古の思想であり、また、永久不転退の意気込みを意味する発声なのである。「ヨイヤサ」の「ヨイヤサ」など云うのも弥栄がつまった音である。

 西洋諸国で諸兄が少年団の特殊な勧呼に対しては、我が「イヤサカ」を以てせられたならば崇厳な日本古事記に歴史上根拠を有するだけに最も日本少年団としての団呼として適切であろうと思う。

二荒芳徳