野営グッズの選び方(基本グッズ)
ここでは、キャンプやハイキングに欠かせない、基本グッズついて説明しましょう。
ナイフ
ここでいう「ナイフ」は、ナイフといってもスプーンセットにある食事用のナイフではありません。野営での作業に使うナイフのことです。
ナイフはキャンプには必要な便利な道具ですが、使い方によっては「凶器」になってしまいます。ここでは説明はしませんが、ナイフや刃物については、保管、携行、携帯、使用方法、メンテナンスについて、指導者自信が十分に理解し、それを実践していることが大切です。ラウンドテーブル等で刃物について十分研修しておいてください。
また、カブ隊でも、カブブックの課目に「刃物」の課目があります。ボーイ隊以上の活動の現場では、どんな機能が必要になるのかのを理解して、どんなナイフを用意したらいいのかを知っておいてください。
「ボーイスカウト・ハンドブック」にもありますが、ナイフの正しい利用方法を修得し、正しく使うことを宣言したスカウトには、「ナイフ・刃物使用許可書」を発行するなど、その管理・指導には十分配慮をしてください。
●どんな種類があるか
スカウティングで使うナイフの種類は、主に次の3種類です。
▶フォールディングナイフ:折りたたんで柄の中に刃が納められる
▶シースナイフ:刃が固定されていて収納できなく「革」のケース(シース)に入れる
▶ツールナイフ:いろいろな機能のブレードがある。「アーミーナイフ」とも言われる
●どれを揃えるか
ナイフは種類によって使用法が異なります。
カブやボーイでは、ナイフの基本的な取り扱い方を指導することを考えて、それぞれの好みで勝手に購入させずに団・隊として同じモデルを用意するよう指導することをすすめます。自分の好みで買うのはベンチャー以降ですね。
お薦めは、ビクトリノックス社のNLシリーズのラックサック(写真上)です。これは刃の長さが丁度良く、また刃が厚くてロックでき、キャンプに必要なブレードが装備されているためです。 ただ、小学生女子の手には大きすぎます。その場合は、ほぼ同じツールが付いていて一回り小さい「キャンパー」も選択肢に入ります。
■ツールナイフ
(ビクトリノックス・ラックサック)
■フォールディングナイフ
(バック・フォールディングハンター #110)
■シースナイフ
(相田義人・ユーティリティ)
△ ページTOPに戻る
懐中電灯(ライト)
●どれを揃えるか
おすすめは、LEDライトです。っていうか、今やほとんがLEDになってしまいました。
それは、電球を使っていないので球切れがなく、電池の持続時間も長いし、明るいのものも多くの種類が出ています。照射角度・光の色等も改善されてきています。
ただし、モノによっては特殊な電池を使用しているものがあります。入手のしやすさと経済性から言って、単三か単四電池のものを奨めます。
●どのタイプか
また、手持ちタイプ(ハンディライト)か、頭に取り付けるタイプ(ヘッドライト)かは、意見が分かれるところです。
ハンディライトは、テントの中やちょっとした用足しに便利だし、かさばらないし、持ちやすいので便利。
ヘッドライトは、両手が開放されるので、作業や移動の時に便利。ですが手に持って使うとなると・・・・。
どちらか1つ・・・選ぶとしたらヘッドライトにしましょう。 ライトは、日帰りの活動でも、万一の非常時に備え、パックの中に必ず入れておきます。
●「ルーメン」「最大照距離」「電池寿命」「照射角度」の4つを知ることが基本
LEDを使ったヘッドライトはたくさんのモデルあります。
このヘッドライトを選ぶときに、まず、大切となるのが「ルーメン」「照射距離」「電池寿命」「照射角度」の4つを確認することです。
▶ルーメン(ml) は、光の総量ですが、明るさと考えてもらっていいでしょう。
▶照射距離(m) は、その光が届く距離のことです。たとえば、1本のごく細い光線が50メートル先まで届けば、その照射距離は50メートルとなります。
▶電池寿命 は、カタログでは低照度モード、あるいはエコノミーモードで使用した場合の電池寿命のめやす(時間)が表記されています。
▶照射角度 は、夜間の過ごし方に大きく影響します。
例えば、夜間登山や夜間ハイキングでは、ある程度遠くまで光が届くことが求められますので、必然的に照射角度は狭くなります。
一方、テントの中では照射角度が狭いと使いづらいですよね。広く光が広がるものが求められます。
遠くまで光が届くタイプから、エマージェンシー用として必要最低限の光量をもった超小型モデルまであり、この中からキャンプやハイキングに適するものを選ぶことができます。
万が一のビバーク用、あるいはメインのヘッドライトの予備として用意するエマージェンシー用であれば、なによりも小型軽量であることが条件です。光束は12~20ルーメン程度と、必要最低限のものでよいでしょう。
テント泊で、テント周辺の作業や歩行であれば、20~50ルーメン程度のもので、広範囲を照らすものがいいでしよう。
早朝や夜間の登山やハイキングなど暗い道を歩く場合は、40~80ルーメン程度で、集光型のものが使いやすいでしょう。
テントの中での使用を考えて、長距離(大光量集光)モードと近距離(小光量広角)モードがあるものがいいようです。
選ぶときは、このようなルーメン(光束)を参考にして、電池寿命、予算などを考慮するとよいでしょう。
照射距離は、20メートル(長くても40メートル)程度で十分なはずです。
その他、ベルトの質や頭とのフィット感、ボタン(スイッチ)の扱いやすさなども、選ぶときのポイントになります。とくに、冬季に使うのであれば、手袋をした手でも扱いやすいかどうかを確認して下さい。
また、集光型のヘッドランプを既に持っていて、テントで使いづらいと思っている方は、手持ちのヘッドランプをランタンに早変わりさせてしまう、クラッシャブル ランタンシェードを使ってみてはいかがでしようか。半透明で柔らかなシェード本体をヘッドランプにかぶせると、目に優しい光が広範囲に広がります。使用しないときは平たくつぶせばかさばらず、軽いし、持ち運びも便利です。しかも安い!!こいつは秀逸です。 私も愛用しています。
■マグライトAA
■ヘッドライト
(ブラックダイヤモンド・コズモ)
■クラッシャブル ランタンシェード
(モンベル)
△ ページTOPに戻る
作業用手袋(軍手と革手)
手袋には、作業用と防寒用とがあります。冬のハイキングや、春秋の雨天時などでは、防寒用の手袋が必要となります。雨に濡れても素材にしみこまないものを選びます。
ここでは、主にキャンプ地での作業で使用するものについて説明します。
多くのスカウトは「軍手」を使っていると思います。軍手は、作業時の切り傷、擦り傷などの怪我防止や、汚れ防止のために着用しますが、もともとは日本軍の兵士用の防寒具だったそうです。
メリヤス製のため伸縮性に富み、左右の区別がありません。刃物や強い力で握る作業でなければ使ってもいいでしよう。
ただし、熱湯がかかるおそれががあったり、ささくれだった材木や竹でトゲを刺すおそれがある等の作業には不適です。そのようなシーンでは厚くてしなやかな革製の作業手袋がおすすめです。
●軍手の素材
今、大量に出回っている軍手は「綿100%」ではなく化学繊維が含まれているため、焚き火や炊事などで熱を加えると溶けてヤケドをしてしまうことがあるので注意してください(真っ白なタイプ:写真中左)。滑り止めのホッチがついているのも同じです。
火に対して使うならば「綿100%(ベージュ色のもの:写真中右)」か革製の手袋を用意しましょう。
●サイズ
サイズは、手の大きさに合ったものを選んでください。
小さいモノは、とっさの時に脱げなくなるので不可。
多少大きいモノであればいだろうと使用している者がいますが、使用用途が「作業のため」ですから、手にフィットしたものでなければ危険です。
軍手は大人用と子供用の2種類だけのようです。綿製の子供用の軍手はアウトドア専門店でもほとんど見かけません。
●野営工作には薄手の革の手袋を
野営工作等の作成作業をする場合には、野営作業のために革製の薄手作業手袋を1つ用意することをすすめます。軍手と違い、指先での細かい作業もできますし、耐久性も高く、滑りにくく安心して掴むことができます。
革製手袋はホームセンターや作業用品店等で500円弱で買えます。サイズもいろいろ揃っています。手首がベルクロで留められるタイプがいいでしょう。
■革の作業手袋
(グリップスワニー)
■軍手
(左の白い方が化繊製、
右のベージュ色が綿製)
△ ページTOPに戻る
椅子
キャンプ生活に欠かせない装備のひとつに、椅子があります。私がスカウトの頃は、折りたたみ椅子の出始めで、小さくてもとても重いものでした①。今も同じタイプのものがありますが、ジュラルミン等の計量素材が使われており、とても軽くなっています。
さて、椅子を選ぶときに、まず考えなければならないのは、どこで使うか、どのように使うかです。ボーイスカウトの場合は、班サイトでの生活になります。班サイトでは、野営工作で「食卓」を作り、そこで食事を摂ります。味噌汁や汁物は熱いのでこぼすことは避けなければなりません。そのためには、無理のない姿勢で食事をすることが大切ですよね。つまり、班として、椅子の座面(すわるところ)の高さを揃えることが大切になります(座面の高さは約30cm)。それに併せて食卓の高さを決めるのです。そして、万一こぼしてしまった場合、汁が食卓から落ちる前に素早く逃げられることも大切です。それには椅子の構造を考える必要があります。開いた時に座面にテンションがかかり、地面と平行であるものが良いでしょう。お尻がドップリと深く座るタイプ⑤は不向きです。ファミリーキャンプと違い、ボーイスカウトのキャンプでは、くつろぐことはあまり考えなくていいでしょう。
次の条件は、かさばらないこと。これは、他のグッズと同様に大切な要素です。基本は背負って歩いて持って行くわけですから。同様に「軽さ」も大切な要素です。最初に述べた、計量・コンパクトですね。
これらの条件から絞っていくと、②③④になります。⑥は座面の高さが40cmほど、体育館でつかう折りたたみ椅子くらいあります。既成品のキャンプテーブルを使うのであれば、この高さが必要になります。
②は畳むと筒状にになり、座面も広いので良いですね。ただし、フレームがアルミのものにしないと重くて持ち運びが辛くなります。
③は畳むと平たくなりますし、やはり座面が広いので良いですね。これもフレームはアルミ等の軽くて丈夫なものを選びます。ただ、パックにくくりつけるに多少の工夫が必要です。②③の背もたれは好みです。少しでも軽くしたいのであれば、背もたれ無しのタイプになります。私の好みは背もたれ付です。多少疲労度が少ないかなぁ…です。
④は、この3つの中で最も軽いし、またかさばりません。3本足のタイプもあります。これを買うときには、自分のおしりの大きさと座面の広さを考えて、座ったときにストレスを感じないものを選んでください。
①
②
③
④