日本ボーイスカウト茨城県連盟
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 Course Menu 7 絵画・お話と読書・劇とスタンツ

◉絵画

 

 目で見たもの、目を通して感じたものを手を通して表現することは、人間の本能の一つでしょう。美しいものを見たとき、感動を受けたとき、それを心に留めるだけでなく、再現してみたい、そんな気持ちが働いたとき、自然に絵をかいてみたくなります。視覚は人間の感覚の中で最も強いものです。「見なければ信じない」「百聞は一見にしかず」ということは、他のどの感覚よりも強い確信を私達に与えます。

 見たまま、感じたままを表現するためには、対象物をよく見なければなりません。また、絵画には形によって、他の人に意志を伝えるという実用面もあります。そのためには、そのものの特徴をつかんで表現しなければ、何を伝えようとしているのか、よく分かりません。

 絵を描くということは、物をよく観察する、特徴を頭の中で整理する、それを正しく表現するための工夫と技術等が必要です。カブスカウトでは、絵を描くことが好きだという少年の本能に合わせて、これらの能力を伸ばしていただきたいのです。技術は後になるかもしれません。のびのびと感じたことを思うようにかかせること、描く喜びを味わうことを先にします。そして、描くことが好きになり、面白くなってたくさん描くうちに、工夫や技術への向上心が出て、もっと上手に、もっと思ったとおりに表現できるようになるでしょう。

 集会や、進歩課目の履修に利用できる絵画の種類は、次のようなものがあります。

 

  • 鉛筆、クレヨン、絵の具等を使って紙にかく。
  • 一人ずつ、または合同で描く(パノラマスケッチ)
  • はり絵 ・指絵 ・ひっかき絵
  • ろう絵  ・砂絵 ・線香絵
  • 版画等

 などです。各々に面白さがあり、特徴があります。プログラムに合わせて、いろいろなものを使ってみましょう。その他に絵を使った簡単な染め物をやってみるのも面白いでしょう。

 

 

◉お話と読書

 

 たいていの少年は、お話を聞きたがります。小さい少年ほど、特にその傾向があります。それは、少年たちの心に常に未知の世界へのあこがれがあるからでしょう。少し大きくなると他の人の口をわずらわさない、自分の努力でできる読書に変わってきます。その意味からいえば、本質的にはお話と読書は同じ知識欲から好まれるといえるかもしれません。

 しかし、彼らがお話や読書に熱中するのはそれだけでなく、その年代特有の想像力によって、語られたものを何倍にも拡大し、自分自身を物語の中の人物にして、どこへでも行け、何にでもなれる空想の世界におくことができるからでしょう。

 言い換えれば、彼らが素直にその気になれる年代だからです。お話や読書を善用することによって、彼らに自信をつけ、努力する気を起こさせ、協力、忍耐、勇気、友情、勤勉等の美徳を悟らせ、よい社会人への道を歩ませる糸口にすることができます。どんなお話を、いつ、誰が、どこでするのか、ということは自ら考えつかれることでしょう。

 自ら進んでやろうとする意欲、自発活動を始動させることができたら、お話は成功であるともいえます。

上手にお話をすることは難しいことです。しかし、少年たちは、本当に少年たちのことを思い、まじめに一生懸命にするお話には、直感的に耳を傾けるものです。よいお話をすること、上手になることに努力してください。

 読書についても、できるだけよい本を選んですすめてあげてください。図書館等で相談されるのも結構でしょうし、機関誌「スカウテイング」での推薦図書等を活用したり、よいと思われる本をまず自分で読んでみることも大切でしょう。

 これらの本を上手に活用することで、プログラムの導入である「想定」やプログラムの流れを作る「ストーリー」がより効果的になります。

 

 

◉劇とスタンツ

 

 劇も少年達の好むものの一つです。少年達は想像力によって、他の人や、動物、石や山、古代の生物にまで、簡単な小道具や扮装、ときにはそれがたった1枚の風呂敷かもしれませんが、それを手がかりに無限の空想の世界で活躍でき、それを他の人に示して、共感を示してもらいます。事実、劇の起こりは、物まねの衝動、もしくは遊戯本能であるといわれています。少年達が持っているものを活用し、劇を演ずることにより

 

  •  創造を楽しむ
  •  発表能力を養う
  •  相互理解の方法を知る
  •  自己の才能をのばし
  •  協力のよろこびを知る

 

等の経験をすることができます。

 それには、劇をするたのしさを知ることです。十分な練習と自信、そして楽しい雰囲気を作ることも大切です。

 

 スタンツと劇は、大きな違いは即興という点です。即興ということは劇の要素の他に

  •  創造力(短時間で劇を組み立てる)
  •  創意工夫(あり合わせの衣装、上衣やテーブルクロスの利用等)
  •  ユーモア(知性のひらめき)
  •  反応性(感受性)

等が要求されます。そこに全員の緊張感、競争意識が高められ、興奮状態を作り出します。即興の面白さは、そこにあるのです。

 物真似やパントマイム、大すじだけ決めてセリブは自分で作る等、いろいろなやり方がありますが、カブスカウト達には、

 

  •  単純なもの、
  •  短時間で演じられるもの
  •  自然であること
  •  理解が容易なもの
  •  扮装にこらないこと

 

等に注意して行ってください。

 劇やスタンツの配役には、隊員達の意見をよく聞いて決める習慣が大切です。いつも同じ人が主役を演じたり、同じ性格の人物をやらせない方がよいでしょう。保護者というのは自分の子供がその劇でつとめる役柄によって、組や隊で、ふだんからどのように評価されているかと一足とびに判断しがちなものです。そしてそのことが、指導者との間の誤解にまで発展してしまうかもしれません。

 子供達は、いろいろな経験をすることによって、劇の内容への理解を深め、人物の性格の相違を知り、そのことから、表現の仕方を習うことができます。

 劇やスタンツも隊員たちに豊かな人生経験をさせるためのものであり、人格形成のためのものであって、劇場での大人の演劇とは本質的に目的が異なるものであることを保護者によく理解させるのは、隊長の役目です。