ある本の中にこんな一文がありました。B-Pの言葉をもじった、いや発展させたものですが‥‥
「自分のカヌーは、自分で作って漕げ!!」
(そして、作ったカヌーが壊れたら、自分で泳ごー。
泳ぎながら、どーしたら助かるのか、良く考えよう!)
だそうです。「なんて無責任なんだ!」なんて声が聞こえてきそうですが(笑)。
だけど、これが、本当の「進歩制度」なんですよね。
‥‥壊れないカヌーを作るにはどうしたらいいだろう、そもそもカヌーは壊れるもんだし、ひっくり返るんだよな……。おぅ! ってことは、泳ぎができなくちゃまずいな。どんな状況で泳ぐのかな?……。静水なワケはないから、川で流されるんだろうな。クロールよりも平泳ぎかなぁ。あ、着の身着のままじゃ耐えられないから、ライフジャケットは当然着けなくちゃ、それはどこにあるんだろ? どうすれば借りられるの? そうそう、着衣水泳もやっておかなくちゃ。う〜ん、上手な流され方ってあるのかな? おっと、そうだ! 岸に上がったとき、きっと体が冷えちゃってるだろうから、たき火も必要だよなぁ。だとしたら、マッチの防水加工もしなくちゃ。都合良く流木があればいいけれど、きっと濡れているだろうから、ライターの方がいいかな。火が着きやすくするには表面削って「ささくれ」をつくって‥‥、ってことはナイフも必要だ。そんでもって、濡れないようにビニール袋に入れて、ひっくり返ったときに失くさないところは‥‥
と、このようにどんどん取り組むべき課題が膨らんできます。それを自分で考えていくんです。仲間と一緒に考えれば、三人寄れば文殊の知恵じゃないけれど、いろんな角度からの意見がでてきて、「へぇ!」「なるほど!」「おもしろい!」っていう新たな気づきに繋がるんですよ。
これって楽しいでしょ? あるテーマを、みんなで額を寄せ合ってワイワイガヤガヤとこういうことを考え、それをみんなで話し合って、その対策を考え、「みんなで共有・分担」する。その上で、それをあーだこーだと試行錯誤しながらみんなで楽しんで準備する。その裏では、そして求められたレベルまで密かに自分を高めておくんだ。
そして、本番に臨む。いままでやってきたことを実行し、成功する。「やったーっ!!」になる。いや、失敗して「くっそーっ!!」になることもある。いずれも反省評価して、「今度」につなげる‥‥。それが「進歩」の本当の姿なんですよ。
進級制度があって、その課目・細目をやるのが進歩じゃありません。はじめに進歩課目ありきじゃないんですよね。楽しい活動するためにやらなきゃならないことがあって、それをやったら、進歩してた! 進歩課目に繋がった‥‥なんです。おぉ、プログラムと進歩が直結しちゃいました。
この「想定問答」ってとても大切なんです。すべてのプログラムのバックグラウンドとなるものです。進歩課目だけを見て、それだけやっていても、それは孤立(独立)したものでしかありません。しかし、活動のテーマがあって、しかも班の仲間達とどんどん想定を膨らましていくと、いろいろなことが連携し、連結し、融合して、つながっていくものなのです。そうなると総合的に物事が捉えることができるようになるのです。それが見えてくれば、自分の役割を理解・把握できます。おぉ、今度は班制度につながっちゃいまいました。
役に立つ知識や技能はこういうところから獲得でき、実践によって体得するから身につくんですね。想定して、準備して・・・実践。それが大切なんです。だからこそ、応用がきくんです。自分の力になるんです。
大人になった「りっぱな社会人」「よりよき社会人」?のスカウト経験者って、何かコトが起こったとき、困っている人のために、ためらわずにそこに赴いていって、さりげなく、きっちりと解決して、人の心を温められる人なんじゃないでしょうか。
このようなスカウティングの本質に目を向けないで(本質を知らないで)「進歩課目」だけを一生懸命やって、菊だ、隼だ、富士だ、野営章だ・・・バッジをたくさん取ったとしても、それって、単にそれだけのことですからねぇ。やらないよりはマシですが、実力とは言えないです。「富士特別野営に参加した富士スカウトが巻結びができなかった・・・・」なんてことがありました。まさにこれが物語っています。進級課目に価値がない、と言っているのではありません。その位置づけと在り方を理解して取り組むことが大切だと言うことです。
さあ、この「Howdy Scouts! (やぁ、スカウト諸君!)」は、キミ達に本当のスカウティングの楽しさを知ってもらいたい、本当のスカウティングをやってもらいたいっていう、そんなコーナーなのです。こんなコーナーを本気で県連のホームページに載せているのは、全国広しといえども茨城県連ぐらいだろうね。
本来であれば、キミ達は隊長を初めとする指導者や先輩たちから、いろいろなことを伝えられて、スカウティングをしていくんだけれど、今は、スカウトの数が少なくなって、伝えてくれる先輩達が少なくなり、また、指導者も同じで本当のスカウティングを伝えてくれる先輩指導者がいなくなっている。それじゃいけないということで、この「ハウディ・スカウト」が設けられているんだ。
ここには、「これだ!」という正解は敢えて書いていない。見つけるのはキミ達自身だからね。だけど、進むべき道を見つけたり、その道をより充実したものにするための、たくさんのヒントがある。
ぜひ、楽しく魅力あるスカウティングを行ってもらいたい!