指導者の資質と資格ついて
どんな人を指導者として迎え入れるか(指導者の資格と指針)
ボーイスカウトは「世界スカウト機構憲章に基づき、日本におけるボーイスカウト運動を普及し、その運動を通じて青少年の優れた人格を形成し、かつ国際友愛精神の増進を図り、青少年の健全育成に寄与することを目的とする」という目的をもって活動をしています。そして、それを達成するため、またその使命を果たすために、継続的かつ効果的にスカウト運動を推進していくことが求められています。
指導者は、その基本方針に則って、青少年に対し良質なプログラムを提供し、彼らがそのプログラムに主体的に取り組むことによって、彼ら自身が成長し、よき市民として社会に貢献できるようにすることが重要となります。このボーイスカウトが100年もの長きに亘って、青少年教育活動の第一人者として評価されているのは、この運動に奉仕する指導者が、この運動の「目的・原理・方法」に賛同し、 積極的に青少年のプログラム活動を支援することに努めているからです。
指導者には誰もがなれるわけではありません。保護者の信頼を得、子どもを預かり、前述の目的に沿って導いていくためには、それなりの資格要件を備えた方でなければなりません。それは、ボーイスカウト日本連盟が定めた「教育規定」に明確に記載されています。
▪隊長は、少年の教育を託するに足る品性と経歴を有する者で、隊指導者基礎訓練課程の当該部門の
訓練を修了した者
▪副長は、少年の教育を託するに足る品性と経歴を有する者で、隊指導者導入訓練課程の訓練を修了
した者
▪隊長及び副長の年齢は、20歳以上とする。ただし、隊長は25歳以上が望ましい
▪隊長及び副長は、その任務を十分に果たすため、各種の指導者訓練、研究会等に積極的に参加する
ように努めなければならない。
です。
これらは、指導者として就任する大前提となります。その上で、次に示す要件や条件を満たしているか、満たすべく努力をしていることが求められています。
●本運動に関与する成人指導者に求められる要件
指導者には少なくとも下記の要件を満たすことが求められています
1 地域社会において良識ある市民であること
2 本運動の目的・原理・方法に理解を示していること
3 本運動の主旨に賛同し、熱意を持ってその任にあたる心構えを有すること
4 心身ともにスカウト活動に支障のない健康状態である
●本運動に関与する成人指導者の獲得に関する指針
1.隊指導者の獲得
各団は本運動の内外の人材を積極的に獲得する努力を行う
1 地域社会にあって隊指導者としてふさわしい人材
2 スカウトの保護者、縁者であって隊指導者としてふさわしい人材
3 スカウトの経験者であって隊指導者としてふさわしい人材
2.人材発掘の留意点
青少年を直接訓育する任務につくことから、隊指導者の選定においては格別の留意を要します。そ
の際、教育規程に示された「青少年の訓育を託するに足る品性と経歴を有する」について、団委員
会において十分協議し育成会、保護者の支持が得られる適任者を選任しなくてはなりません。
1 地域社会・職域(学生にあってはその学校)等において良好な人間関係を築いている
2 スカウト活動にとって有益と考えられる知識、技能を身につけている
3 成人として広い心で青少年を受け入れ、指導・支援することができる
指導者は何をするのか
指導者が持ち合わせている資質については、上記の通りです。
では、ここからは、指導者は何をするために任命されているかということについてお話しします。
下記は、ボーイスカウト隊の隊長の任務です。続いて「就任時に備えていることを期待される知識・技能」、さらに「就任後求められる努力目標」と続いています。他の部門の隊長もほぼ同じ内容です。
くり返しますが、隊長をはじめ全ての指導者は無給のボランティアです。無給だから「できる範囲で」という位置づけではなく、無給だからこそ責任をもって任務を果たそう!という精神と志を持って、スカウトたちの教育に当たっています。そんな指導者だから、保護者や地域の方々から信頼されているのです。
●隊長の任務
1 日本連盟の方針に基づいた隊運営、諸活動を行う
2 隊の運営管理に責任を持つ(会計、事務等)
3 隊のプログラムに責任を持つ(教育内容、安全に配慮する)
4 スカウト教育法を用いる
5 スカウトの自発活動を促し、その成長を支援する
6 青少年にスカウティングを提供するために他の責任ある人達と協働する
7 後継者を育成する
8 すべてのスカウトがベンチャースカウト隊に上進するよう指導する
9 団会議に出席し積極的に参画する
10 地区協議会に出席する
11 各種指導者訓練、ラウンドテーブルに参加する
12 指導者自身が良識ある市民としての模範を示す
13 すべての隊集会に出席するか、もしくは有資格代理者を出席させる
14 班長を訓練し、指導する
i.班長訓練の実施
ii.班長会議への指導と援助
15 デンコーチの選任、指導、支援に協力する
16 保護者と有効な連携を図る
17 上記を行うため、そしてより良いスカウティングを提供するために、WB研修所の当該課程を修了
し、また上級訓練課程であるWB実修所を目指すこと
●就任時に備えていることを期待される知識・技能
1 日本連盟の教育方針を受容していること
2 当該年代の青少年の特質について指導上必要な知識を持っていること
3 「ちかい」と「おきて」について成人指導者として理解していること
4 「ちかい」と「おきて」についてボーイスカウトに説明できること
5 「行うことによって学ぶ」ことの教育的意義を理解していること
6 当該年代の「小グループ活動」の教育的意義を理解していること
7 スカウトの興味を基盤とした野外におけるゲーム、スカウト技能、地域社会への奉仕を中心とした
プログラム活動を推進することができる
8 教育規程7-23に定める活動の目標を理解していること
9 初級章課目、2級章課目を考査することができる知識、技能を有すること
●就任後求められる努力目標
1 日本連盟の教育方針について保護者に説明し理解を得られること
2 ボーイスカウト年代の青少年の特質について指導上必要な深い知識と理解を持っていること
3 全部門について一定の知識を有すること
4 「ちかい」と「おきて」について成人指導者として実践すること
5 「ちかい」と「おきて」についてスカウトの成長に見合った指導が適切にできること
6 「行うことによって学ぶ」機会を効果的に提供できること
7 パトロールシステムに則ったプログラムを進める上で、自隊の問題点を抽出し、その改善策を立
案・実施できること
8 スカウトの興味を基盤とした野外におけるゲーム、スカウト技能、地域社会への奉仕を中心とした
段階的かつ刺激的なプログラム活動を幅広く効果的に推進する能力を有すること
9 教育規程7-23に定める活動の目標を達成するよう自隊のプログラム活動に効果的に盛り込むこと
ができる
10 隊の運営管理が確実にできる
11 団内各隊、団委員会、保護者、他の青少年団体、地域社会と良好な関係を維持することができる
12 人材を適切に活用できる知識、能力を有すること
13 より高度な野外活動技能を身に付ける
14 1級章課目、菊章課目を指導、考査することができる知識、技能を有すること
15 宗教章取得の支援ができる