Q6:地区への「進歩課程履修報告書」の提出と「個人進歩記録簿」の関係?
今回、県連からの通知で、「スカウト個人進歩記録簿」と各隊の「進歩課程履修報告書」を隊から団委員会に提出するよう指示がありました。
6月に発行された「進歩制度~その理解と運用のために」の資料編「団における進歩状況の報告と記録(例)」のフローによると、 団委員会に提出するのは、「スカウト個人記録」であって、「スカウト個人進歩記録簿」ではありません。
「進歩課程履修報告書」は、「スカウト個人進歩記録簿」をもとに作成するのであって、「スカウト個人記録」ではないと読めます。「スカウト個人進歩記録簿」は、隊で保管する台帳のような位置づけと理解しますが、どのように解釈したらよいのでしょうか。(M.O SM)
「進歩制度~その理解と運用のために」の資料編「団における進歩状況の報告と記録(例)」のフローについて改めて説明します。
用語が似ているため、ここでは、スカウト個人記録、スカウト個人進歩記録簿、進歩課程履修報告書、と色を変えて表記します。
まず、団のスカウト管理台帳(スカウトの入隊から卒業まで)となるものが「スカウト個人記録」となります。ここに記載される内容は「進歩」に限りません。この「スカウト個人記録」は、基本的に「団委員会」が保管するものです。これへの記録・追記については、原則として団委員会(の担当団委員)が行います。これをもとにして登録事務や育成会名簿等が整備されますので。多人数の場合は、隊指導者に依頼することはもちろんかまいません。(フローでは、隊に依頼した形で描いてあります。)
※年度末には最新情報が記録されているようにしましょう。
「スカウト個人進歩記録簿」は、そのスカウトが隊に在席している間隊長が所持し、そこにすべての「進歩」に関する記録を記録すると同時に、一目で進歩状況が解るようになっています。隊長のエンマ帳的なものになります。
これは、活動の出席状況やスカウトに進歩章を授与したりする都度隊長(もしくは進歩担当副長)が責任をもって記入していきます。スカウトがその部門に在席している間、記録できるようになっています。
隊長は、この「スカウト個人進歩記録簿」を基にして、先の「スカウト個人記録」に必要事項を転記したりまた、今回地区への提出を求めている「進歩課程履修報告書」を作成したりします。「スカウト個人進歩記録簿」は、スカウトが、上進等で隊を離れる場合は、団委員会に提出し「スカウト個人記録」とセットにして一旦保管し、上進後に当該隊に預けるようにします。
今回は「スカウト個人進歩記録簿」と「進歩課程履修報告書」の両方の提出を求めています。これについて説明します。
まず、「スカウト個人記録」は団おいて整備されていると思います。
今回の依頼は、この「スカウト個人進歩記録簿」を基にして、「進歩課程履修報告書」を作成し地区への提出をお願いしているものですが、同時に、「スカウト個人記録」に必要事項を転記することが必要であるため、団委員会においてその作業を行うために提出をお願いしたものです。
前述の通り「スカウト個人記録」の記入は団委員会で行うものですから、そのためのデータが必要となります。制度として改めて定めた最初の作業となりますので、今回の依頼文書で「スカウト個人進歩記録簿」の団への提出を依頼したもので、今回限りの措置となります。
また同時に、団においては、地区への「進歩課程履修報告書」提出にあたって、「スカウト個人進歩記録簿」から「進歩課程履修報告書」への転記の整合性を確認していただくためでもあります。
「スカウト個人記録」への記録の追記についてですが、年度末には最新情報が記録されているように・・・は前述の通りです。
この作業をするにあたって、「スカウト個人記録」が団委員会と隊とを行き来することになるかと思います。これは個人情報であり、十分なる管理を求められていますので、ご注意ください。その上で、各団・隊の実状に即して追記等の作業をお願いします。
【2009.09.09 担当コミ】
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Q5:団委員会と隊との関係について(続き)
このQ&Aを見てもらって、団事務局や保護者会に改善を促しましたが、一向に改善される気配はありません。結果として8人のスカウト、6人の指導者が辞めてしまいました。(Y.M ACM)
団事務局と保護者会ですか。厳密に言えば、どちらも団の中にある任意組織(正式なスカウト運動の組織ではありません)ですので、そのあり方や機能は、その組織を設けているそれぞれの団によることになります。
ただし、これらの組織は「運営側」すなわち団委員会側の立場になります。したがいまして、隊から求められない限り、直接「隊」に対して意見を述べたり、指導をしたり、要望を伝えたりすることは控えなければなりません。保護者会であれば、保護者会の代表者を通じて、担当の団委員に要望等を伝え、団委員会としてそれを検討した後に、団会議の場で団委員長から、正式な議題として提出することが筋です。また、各隊で開催される「保護者の会」の主旨に沿うものであれば、そこで直接述べることは可能ですね。このようなきちんとしたルールがありますので、それが機能するように働きかけてください。
次は、団の事務局ですか? 私の所属している団には、事務担当者(要するに団の窓口である団連絡先。別名:総務担当委員。)はいますが、事務局という組織はありませんので、具体的には申し上げられません。こちらも原則論となりますが、団事務局から、隊の活動内容について指図やら指示があってはなりません。そこでは指図やら指示という意思の決定をしているということになります。団委員会がその領分までの決定権を事務局に託していることはあり得ないでしょう。それをしてしまったならば団委員会の存在価値はありませんから。
従って、団委員会の協議内容の記録とか、資料の準備とか、需品の受け渡しとか、会計担当が他にいなければ予算の執行や残高の報告を、そして団や地区からの連絡・伝達事項が届いたのであれば、それを遅滞なく各隊に送付するなど、あくまで事務面についてのみを担当するのが団事務局という組織であるべきです(県連の事務局とは位置づけが全く異なります)。また、団委員会の決定事項については、団会議の席上で団委員長から各隊に伝達するものであって、これを団事務局が行うことは、団の指示系統、言い換えれば、ボーイスカウト運動の設定した指示・組織系統に混乱を招くことになります。
また、その結果かどうかは判断できませんが、多くのスカウトと指導者が辞めたことは、団として「重く厳しく」受け止めなければなりません。
このような状況は、実はいろいろなところから伝え聞こえてきます。そのほとんどが「団委員長」もしくは1人の「隊長」に権力が集中してしまい、その結果として主流派とそれ以外の指導者という二極対立の構図が出来上がり、それ以外の指導者がある日一度に辞めていく・・・というケースです。また、家族(特に夫婦)が揃って団や地区の強い立場に就任することで、その夫婦の意向が色濃く反映されすぎて、他の人たちがついて行けなくなるケースも起こっているようです。いずれにしても人間関係が上手く機能していれば特に問題は生じないのですが、何かが引き金となって、問題が露わとなったり人間関係が危うくなったりするものであることには違いありません。スカウト運動は、多くの人達の良い関わりとそれによる組織があってはじめてその教育効果が表れるものですので、特定の人によらずに組織がきちんと機能するよう、また、このように多くの人が辞めた原因をしっかりと掴んでその改善が図れるよう、日頃から健全な運営に努められるようお願いいたします。
【2008.03.06 担当コミ】
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Q4:団委員会と隊との関係について
団や育成団体から、隊長を介さずに副長にいろいろと直接指示がきます。WB研修や指導者講習会で教えていただいた隊と団の関係とは大きく異なっています。指示系統がいくつもあって混乱しているのですが、どうしたら良いのでしょうか。(Y.M ACM)
今は少なくなりましたが、昔は団とか隊とかの垣根がなく、このような状態が多々ありました(・・・とは言ってもウン十年前のことですが・・・)。
具体的な内容はわかりませんので、一般的に答えます。
まず、今は団の組織は大きく2つで構成されています。ご存知の通り「団委員会」と「隊」です。団委員会は、団の運営を担い、隊はスカウトの教育面を預かります。 団委員会の大きな仕事は、育成団体(奉仕の精神をもって団を存続維持し、教育に必要な施設と、経費について責任を負う)の意を受けて、団の維持存続とスカウトたちへの人的・物的教育環境を整備、安全と健康の管理、スカウト運動の趣旨の普及に努めることです。県内のほとんどの団はスカウトの保護者からなる育成団体を母体としていますので、育成団体メンバー=保護者と見なして、話を進めていきます。
さて、ボーイスカウトは、学校とか他の教育団体とは、根本的に教育に対する考えが違っています。他のQ&Aでも回答していますが、「教え込む」ではなく「能力を引き出す(自ら開発する)」ことを教育活動の軸に据えています。ということは、団委員会のメンバーは、このボーイスカウトの教育法についての十分な知識と、その実践経験を積んでいると同時に、社会人として組織運営に十分なる経験をお持ちの方を中心として運営されることが求められます。今まで、ボーイスカウトの指導者訓練では、この団委員に対する分野が不足していたため、今年度から「団運営研修所」のカリキュラムを大きく変更し、団委員長就任のための必須研修にすべく動いています。具体的には決まってはいないのですが・・・。
この団組織の仕組みを知らないと、質問のようなことが発生しがち・・・になるのです。
よく、「指導者を任命するから団委員会は偉い!!」 とおっしゃる方がいますが、全くの間違いです。このQ&Aの「スカウティング全般」のQ5「団の意向に沿わない隊の活動について」を読んでみてください。ここに団の在り方を記載しています。このボーイスカウト運動はボランティアの厚意で運営されているものです。そこには原則として上下関係はありません。ただし、任務という面では、責任者と担当者という役務分担があり指示系統が発生します。これについても団委員会と隊とではその正確が全く異なります。
まず、団委員会は、「育成団体は、スカウトの父母等から5名以上の委員を選任し、団委員会を構成し・・・」とあります。ということは、先に述べた育成団体として責任を果たすための執行機関=団の運営機関であるわけです。そして、団委員長は、団委員の互選で規定の条件に合う方を選任することになっています。ここでのポイントは「選任」です。任命ではないのですね。育成団体の役割は団体そしてそのメンバーが担うものですが、その代表としての位置づけ=選任となるわけです。つまり、団委員会は、育成団体に対して、同時に連盟に対して責任を負うことになるのです。
一方、隊は・・・・、教育の実施機関です。例としては極端な例えですが「指導者=教育のプロ集団」と思ってください。団と全く関係のないスカウト教育のプロを依頼し、団で教育活動をしてもらう手続きとして「任命(契約)」して就任してもらった・・・と。そう考えれば分かりやすいと思います。
そのプロが教育活動を滞りなく行うためのサポート(後方支援)をすることが団委員会の役目の一つでもあるわけです。隊指導者は団の意向を受けて、短期・中期・長期の育成計画を練って、それに即して年間計画を立て、更には月間プログラムを作って集会計画や進歩計画など、スカウトのあらゆる面での成長を促すプログラムを実施していくのです。指導者はこのような「任務」に責任を持って実行に当たることを誓約して受諾しているので、「任命」という言葉を使っている訳です。この様に考えると団と隊のおのおのの姿が見えてくるでしょう。
ですから、よく団と隊の関係を「車の両輪」と表現しているです。上下関係ではなく、並行した必要不可欠の関係であることがおわかりいただけますか?
で、質問に戻りますが、多くの団では、スカウトの保護者、すなわち育成団体のメンバーが指導者になっているようですので、ある時は保護者の立場だったり、指導者の立場だったり、団委員だったり、加えて地域やPTAなど様々な形の関係がそこにあると思います。そのため、組織や制度をきちんと理解していないと、団(育成団体)と隊というしくみを意識せずに、単なる人のつながりから指示をしてしまう・・・ようなことが生じてきますし、地域での人間関係からいってもそれをなかなか否定できないとも思われます。また、これがいい方向で作用している限りは素晴らしい組織にもなります。しかし、そうでなかったら(なくなったら)どこからか歪みが生じて人間関係が損なわれたり、辞任したり、派閥が生じたり・・・・と、スカウトに素晴らしい教育を提供するのための組織としてふさわしくない状況になってしまうでしょう。
従って、この運動に携わっている間は、団委員・指導者それぞれの役割をきちんと区別して担っていただきたいと思います。
また、保護者という立場にある団委員や指導者はどうしたらいいか、という声も聞こえてきそうですが、団委員は基本的に育成団体の代表ですので問題はないとして、保護者である指導者については、基本的に「指導者」という立場を最優先してください。育成団体のひとりとしての活動もあるでしょうが、指導者である限りは、それを免除してもらって、スカウトの教育活動に専念できる環境を構築することがこのスカウト運動では大切です。おそらく団や育成団体の方々が思っているよりも遙かに指導者の任務は重く、また手間と時間を要するのです。特に主婦である指導者は家庭と活動の2つを両立させるだけでも大変なものがあるでしょう。
それから、隊においては、すべての責任を負うのは隊長です。副長は隊長を補佐し任務を一部を担っている立場にあります。従って、団から(他の隊からも)責任者である隊長を介さずに直接指導者に指示をすることは避けるべきです。団と隊との連絡、そして隊と隊との調整のために「団会議」があり、またそれは団委員会と別個に開催されているのです。
まぁ、こう書いてしまうと結構窮屈ですよね。これらの大原則を十分に踏まえた上でだったら、越境して指示することは「アリ」でもいいでしょうね。双方が納得しているということが前提ですが。
【2007.10.31 担当コミ】
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Q3:プログラム年度を4月に戻したい。
現在、当団では事業年度・プログラム年度とも9月~8月としています。しかし、県連や日連、そして行政や学校と同じように、これを従来の4月~3月のサイクルに戻したいと思っています。何か問題はあるでしょうか? (T.I CM)(→H27.4からは4月切り替えとなりました。)
9月~8月のサイクルになったのは、1991年・平成3年の規約改正の時です。
県内では、3地区や6地区の一部の団が、4月~3月のサイクルでプログラム年度・事業年度で運用しいていると聞いています。
9月開始になる以前は、「4月に新体制となり、夏のキャンプで組・班がまとまってその勢いで年間の活動が活気あるものになる」と言われていました。今の9月開始のサイクルだと「ようやく8月のキャンプでまとまったと思ったら、もう終わりだ」・・・という声も聞こえてきます。これについては厳しいようですが、旧態依然とした隊運営であるか、指導者の意識と実行の不足であろうかと思います。多くの団で9月開始で事業を行っていること、それに応じたプログラムの作成と実施がなされていることからも、これを理由に4月に戻すことはできないと思います。
次に聞こえてくる理由は、地区や県連の事業計画の提示は、翌年3月までで、隊の活動はその年の8月まで。4月から8月までの地区や県連の行事の提示がないので、この間はそれを隊の活動に反映できないということです。確かにそれはあります。が、指導者が地区や県連の行事等に参加することは、そんなに機会があるわけではないでしょうし、中でも必ず出席しなくてはならないものについては、例えばラウンドテーブルや地区協議会などですが、支障がある旨を担当コミッショナーなどに伝えれば、9月までの暫定スケジュールは組んでくれるはずです。
また、一方で、登録費の件もあります。登録年度は4月~3月ですが、登録費は年額の納入となっています。9月からの新規登録者に限って半額という特例規定もありますが、加盟登録にあたっては、ローバーまで継続することが前提となっていますので、4月~3月であっても特に問題はありません。登録料の問題が度々話として出で来るのは、スカウト運動を部門ごとの区切りで捉えているからです。上進をしないと、登録料を余分に納めている意識となりがちなのは理解できます。しかし、継続を前提としてる組織においては、これは途中での退団となるわけです。ですから規定でも「2-17-③に既納の登録料は、これを返還しない。」とあります。
・・・ここまでのことは、実際の運用にそぐわない部分があることを承知して話をしています。しかしながら、これを決めたのは、我々の代表であり、スカウト運動を推進する限り「決められたルール」を守ることは、まず私たちがすべきことです。そぐわないのであれば、「俺たちは勝手にやる」ではなく、きちんと組織を通じて修正をするべく進めることが、私たちがスカウトたちに範として示していくことなのではないでしょうか。
さて、次は、対スカウトについてです。
隊活動に限定してみれば・・・・。カブやビーバーでは、9月~8月でも、4月~3月でもプログラムの年間のヤマを何処に持って行くかとか、進歩課目履修においては、特に問題はなさそうです。ボーイも同様です。ベンチャーはある意味「月」に左右されないプログラムができますから。
で、問題になるのは、県連や日連のイベントへの参加で、参加資格に制限がある場合です。例えば中学1年の8月に日本ジャンボリーがあったとします。参加資格としては、その年の3月31日か4月1日現在で「2級」以上のスカウトであること・・・ですね。
9月~のサイクルの場合、小5の9月にボーイ隊に入り小6の3月まで、約1年半の期間があり、その間に2級スカウトになれば参加資格が得られます。ところが4月~のサイクルだと、小6の4月から3月までの1年間しかありません。その間に2級にならなくては、ジャンボリーには参加できないのです。このことは世界ジャンボリーや、国際派遣事業への参加の場合にも常につきまといます。9月~のサイクルの団のスカウトに比べて、チャンスが確実に減ってしまうのです(日連でも県連でもプログラム年度は9月~8月となっていますので)。
最後に、コミッショナーからの隊指導者へのサポートについてですが、地区や県連は9月~サイクルのプログラム年度で、その内容を考えています。地区全体が4月~3月であればいいのですが、そうでない場合は、必要な時に必要なサポートは得られにくくなります。コミッショナーも決してヒマな訳ではありません。多くの仕事を抱えて、効率よく任務を行っていく上で、例外的なサイクルがあるとそこにパワーを取られてしまい、他への支援に支障が生じることもあります。
結 論としては、どこに主眼を置くかです。団の運営事務なのか、スカウトへのチャンスの確保なのか。判断は各団・隊にお任せします。
【2007.09.05/2018修正 担当コミ】
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Q2:進級考査課目の認証日がほとんど同じ日の場合の対応
団面接の時のことですが、隊から提出された申請書の進級考査課目の日付がほとんど同じ日となっていました。隊で隊長とスカウトが行った結果ですからそれを尊重して、そのまま地区に提出しようと思いますが、大丈夫でしょうか? (N.M ASM)
結論から先に述べますと、大丈夫です。
その理由としては、同じ日にすべての課目が合格レベルに達した訳ではないでしょう。日々の努力の積み重ねの結果として、その考査の日までに、考査基準(基準の考え方については、BS編Q7を参照)に達したと考えることが妥当だからです。
何らかの事情があって(例えば、隊長・スカウト双方が忙しかったとか、隊長が考査をしなかったとか・・・)、たまたまその日に考査できるタイミングとなったのかもしれません。面接の時に口頭でその確認をとる必要はありますが、異議を唱えることはしないでください。
特に「ちかい」と「おきて」の実践をしなくては、考査に合格をできない訳ですから、スカウト本人も「スカウトは誠実である」を実践した結果であるわけです。隊長としては、それを当然確認して認証しています。団も地区も県もそれを否定することはできません。「名誉にかけて実行すること」を誓った結果なのですから。
もし、内容に疑問があった場合でも、上記の理由から、その申請については却下することは避けてください(疑問等については、面接の前までに解決しておくことが大切になります)。それは、スカウトの責任ではないからです。それを指導・認証した隊長の責任なのです。従って、その申請の方法または考査認証の方法や考え方について、団や地区コミッショナーから隊長に指導することで、同じ轍を踏まないようにしていくことが大切になります。
コミッショナーはラウンドテーブル等で進級課目への取り組みと認証については、いろいろな形で協議・研究しています。団の進歩担当団委員ももちろんラウンドテーブルに参加できますので、このあたりを一緒に勉強をされることをお勧めします。
私たち指導者は、スカウトが自分の取得した「進級章」に対して、自信と誇りをもって恥じることのなく着用できるように、その「章」を位置づけ(取り扱い)、スカウトに取り組ませることが大切です(一部で言われる「御殿場富士」「五合目富士」や「五分咲き菊」などと揶揄されることのないように)。
【2007.07.13 担当コミ】
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Q1:障がい児スカウティングについて
最近、我が団でも身体的な障がいではなく、心の障がいを持ったスカウトの入隊が増えてました。アスペルガー症候群と診断されたスカウトが入隊してきたのですが、指導者として注意すべき事などありましたらお教えください。 (M.A ACM)
私は専門家ではありませんので、「アスペルガー症候群」への対応については、ここで述べることは避けたいと思います。詳しくは専門書やホームページをご覧なってください。
ただコミッショナーとして、この運動との関わりという点で述べさせていただくと、「正しい理解」と「思いやりの心」、「足りない部分をフォローしてあげてともに手を取り合っての活動」と、そのスカウトが「安心して参加できる環境づくり」の構築となるでしょう。そのスカウトの長所を活かして、苦手な所をカバーする方法を一緒に見つけていけることだと思います。
特に「正しい理解」は大切です。「アスペルガー症候群」の子供は、一見して普通の子供と変わりませんので、つい、他のスカウトと同じような扱いをしてしまいがちです。特にスカウトの世界では、規律、班ごとの行動、安全の確立等、スカウトの成長上必要なことを当然のように求める傾向があります。特にスカウトを経験している指導者はその傾向が強いので注意しなくてはなりません。アスペルガー症候群だけでなく、すべての障害児について言えますが、まずは、私たち指導者が「障害」についての正しい理解とその共通理解をもつ取り組みをしていかない限り、その子供にとってマイナスでしかないと思います。それには、その保護者の協力は欠かせないものなのです。
次に、もうひとつ確実に双方が理解していなくてはならないことがあります。その障害を持った子供の保護者が、スカウティングに何を求めているのか、スカウト運動をきちんと理解してくれる取り組みをしているか・・・です。これは大切なことです。保護者としては自分の子供に良い環境を与えたいと切に願い、スカウティングに期待を寄せてこの門を叩いているからです。
私たちはスカウティングの理想に向けて活動をしている訳ですが、決して万能ではありませんし、ボランティア故の限界があります。また、スカウティングについてきちんとした理解がないままに受け入れてしまうことは、その後に何かしらの食い違いやら事故・トラブルがあった場合、双方ともに傷つくことになってしまいます。スカウティングが、何を目的にし、活動目標をどのようにもって、どんなシステムと方法で活動を行っているのか、そして「与えてくれる」のではなく「自らで獲得していく」ための運動であること、それを指導者だけでなく保護者たち成人が一体となって支援していくものであることを、きちんと理解してもらうことは必要です。その上で、その保護者と指導者、そして他の保護者の理解と協力があってこそ、双方が生きる活動ができるものと思います。もし、その保護者が、その障害を隠しておきたいと言うのであれば、受け入れは難しいのではないかと思います。
団として受け入れるに当たって、もうひとつ重要なことは「継続性」です。つまり、原則として「ローバー隊」を卒業するまで、その子に対するスカウティングとしての責任を考えなければなりません。
「カブ隊としては受入OKなので入隊しました。でもボーイ隊では受入態勢がとれないので上進はお断りします・・・・・」では、あまりに身勝手です。保護者と話し合って、限られた期間だけで活動・・・という場合もあるでしょうが、活動しているのはそのスカウト本人です。本人がボーイ隊に上進したいのに約束だからダメ!!では、それこそ何のための運動なのでしょうか? たとえ本人が了解済みでカブ隊に入ったとしても、その約束をした時は、いったいどれだけのことを理解した上で約束をしたのでしょうか(カブ隊の「やくそく」とは別な意味での約束です)。
ローバー隊を卒業するまでの責任をきちんと団として考え、それを実行する団の体制整備を責任を持って実施できるのであれば(今すぐではなくてもかまいません。スカウトの成長とともに整備すればいいんです)、是非とも受入をしてください。そのスカウトとともに、我々成人指導者も一緒に成長していきましょう(これは、健常児のスカウトを受け入れる場合とまったく同じですよ)。団の指導者、スカウト本人、その保護者の3者で、それぞれどう関わっていけばいいのかを、しっかりと認識・確認した上で入隊されることが大切です。
指導者・団委員としては、団のスカウトたちとその障害を持つスカウト、どちらも「win-win」の関係が築けるような団・隊づくりと、上進してからの継続性を十分に考え、団の育成会(スカウトの保護者)の理解と協力、そしてそのスカウトの保護者が安心して信頼して子供の障害のことを話せ、託せるような環境を作ることは、是非実現しなくてはなりません。これは、団や隊にとって、決して負担となるものではなく、「心を育てる」という部分での本来のスカウティングの在り方に近づくものである・・・ということもご理解いただきたいと思います。
【2007.05.21 担当コミ】
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