Q13:上進集会(Q11参照)は必要ですか?
Q11からのつづきです。ビーバー隊への仮入隊は、課目として「2回以上の見学または参加」があるが,カブ隊にはありません。個人作業での修得だけでいいの? (D.K ACM)
りすの課目を見る限り、集会への参加は規定されていません。条文上は個人作業だけでも良いと思われます。
しかしながら、スカウト運動の目的、カブスカウトの訓育(7-16)、カブスカウトの目標(7-17)等を精読していくと、個人作業では成し得ない大切なプロセスが上進集会にあることが見えてきます。
まず、カブスカウトのバックグラウンドになっているものは、ラジャード・キプリングの「ジャングル・ブック」であることはご存知のことでしょう。オオカミの群れの中で、その群れの掟に従っうことの大切さが記されています。つまり、群れ、すなわち己を存続させるための大切なルールが厳然としてそこにあり、それを破ることは個そして群れ全体の安全を大きく脅かすことになるんだぞってことが、魅力あふれる冒険を通して楽しく書かれています。
カブの年代の子供達に求められることも同様です。この年代に備えてもらいたいものは、仲間の大切さであり、「組」という異年齢の少人数の仲間集団を構成して、仲間を守るための自律と、仲間と共に生きていくための協調性、リーダーシップとフォロワーシップ等、正義感や勇気などの、社会の基礎です。それを学ぶ時期です。それを「組」という仲間(班制教育)を用いて実現しようとするものです。そこに仲間入りするためには、そのグループだけが持つ特別なルールを知ることが必要となります。そのルールが「りすの課程」の各項目なのです。それは、先輩から教えてもらわなければ、その子細までを知ることはできません。りすの道のカブブックを読むだけでは足りないのです。そうです「百聞は一見にしかず」です。
さらに、隊長などの指導者にとっては、その子の性格を知るための大切な時間でもあります。
このように「人間教育」を行うボーイスカウトにおいては、人と人との関わりをその運動体の教育の基本としていますから、カブにとっての第一歩となる上進集会は欠かすことができない重要な位置づけとしていることを、ご理解いただけるでしょうか。
どうぞ、条文だけでなく、その背景や歴史、そして先達達が築いた精神等をそこに加味して、活動を行っていただければと思います。このような背景等は、ラウンドテーブル等でコミッショナーが語ってくれると思います。
【2010.07.23 担当コミ】
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Q12:ビーバーからの上進者のりすバッジの着用について
カブ隊に仮入隊をすると「りすバッジ」を着用するものですが、ビーバーからの上進者については、カブ隊の履修科目となっていますので、当然、ビーバー・ベストには着けられないのですよね。 (D.K ACM)
具体的な記述はどこかにあるかもしれませんが、執筆時点では「日本連盟規程集」しか手元にありませんでしたので、その範囲で回答します。
まず、「仮入隊」の位置づけですが、仮入隊をすることによって加盟登録はできます(3-43)。そして、9-1-②に「加盟員は制服を着用できる」となっています。ということは、仮入隊であっても加盟登録した者は、カブの制服を着用できることになります・・・が、他の条文を良く読んでみると、加盟登録はしていても、スカウトの仲間になる「カブスカウトのやくそく」はしていない段階です。つまり未だカブスカウトではありません(3-44)。ということは、9-6にあるような制服を着用することはできません。カブスカウトになるには、やくそくの式においてカブスカウトの「やくそく」をすることが必要です(3-44)。これが第一条件です。
そして、7-49に「仮入隊者は、次の課目を修得した後、進歩課程の区分に従い、その課程のカブスカウトとなる」となっています。すなわち、りすの課目の修了がカブスカウトになる第二条件となります。(今はこの仮入隊期間を「りすの道」とは言わなくなりました。ただこのFAQではりすの課程の課目が記されているブックを「りすの道のカブブック」と称します。)
次に、9-6-1-(2)に「りすバッジ」について規程されています。このりすバッジは「りすの課程を修得中の少年の左胸中央につける」とあります。その記述の通りです。ビーバーから上進した者も、そうでない者も、カブスカウトになろうという「りすの課程」を履修している者は、すべからくこのりすのバッジを着用することとなります。 ・・・・ここまでは、理解されているようですね。
さて、本題に入りましょうか。
りすバッジは、基本的にとして「私服」に着用することとなります。りすバッジの構造は、バッジの裏に安全ピンがついており、それを利用して衣服に着用します。「りすの課程を修得中の少年」とは、カブ隊が用意した「りすの課程」を履修するため等の活動(以下「上進集会」といいます。)に参加している間と捉えられます。ただし、家庭での履修時に「りすバッジ」を着けることはどこにも否定されていませんので、可能です。
問題となっているのは、ビーバースカウトの立場で「りすの課程」を履修しているビッグビーバーですね。制服と記章の原則から、ビーバースカウトの制服に他の部門の記章を着用することはできません。「それじゃ、ビーバーからの上進者は、ビーバーの制服を脱いで、りすの課目を履修する上進のための活動に参加しなければならないの?」、厳密に言うとその通りです。
多くの団では、上進時期が9月でしようから、仮入隊の期間は7〜9月頃でしょう。そしてビーバー隊の活動日に合わせて、上進集会を行うことが多いかもしれません。その場合、ビーバーからの上進者は、当然ビーバーの制服を着用しているはずです。そして、そのまま上進集会に参加することになります。夏の暑い時期ですし、ビーバーのベストは脱いで、下に着ている服に「りすバッジ」を着けてください。4月上進の場合は、防寒着に着けましょう。これが原則となります。
ビーバー隊からの上進者だけの上進集会の場合は、カブ隊への上進というステップアップの意識をより持たせるために、ビーバーベストを脱がせることは一理あると思います。また、ビーバー隊以外に入隊を希望している仮入隊者がいる場合は、「制服の壁」を感じさせない配慮となるかもしれません。この当たりは、団の状況によって異なるでしょうから状況をよく把握して対処してください。
それから、りすの課程は、小学校2年生だけを対象にしているわけではありません。年度途中の入隊希望者も履修することになります。履修期間はだいたい1〜2ヶ月でしょうか。
【2010.07.23 担当コミ】
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Q11:障がい児スカウティングについて
最近、我が隊でも身体的な障害ではなく、心の障害を持ったスカウトの入隊が増えてました。アスペルガー症候群と診断されたスカウトが入隊してきたのですが、指導者として注意すべき事などありましたらお教えください。 (M.A ACM)
私は専門家ではありませんので、「アスペルガー症候群」への対応については、ここで述べることは避けたいと思います。詳しくは専門書やホームページをご覧なってください。
ただコミッショナーとして、この運動との関わりという点で述べさせていただくと、「正しい理解」と「思いやりの心」、「足りない部分をフォローしてあげてともに手を取り合っての活動」と、そのスカウトが「安心して参加できる環境づくり」の構築となるでしょう。そのスカウトの長所を活かして、苦手な所をカバーする方法を一緒に見つけていけることだと思います。
特に「正しい理解」は大切です。「アスペルガー症候群」の子供は、一見して普通の子供と変わりませんので、つい、他のスカウトと同じような扱いをしてしまいがちです。特にスカウトの世界では、規律、班ごとの行動、安全の確立等、スカウトの成長上必要なことを当然のように求める傾向があります。特にスカウトを経験している指導者はその傾向が強いので注意しなくてはなりません。アスペルガー症候群だけでなく、すべての障害児について言えますが、まずは、私たち指導者が「障害」についての正しい理解とその共通理解をもつ取り組みをしていかない限り、その子供にとってマイナスでしかないと思います。それには、その保護者の協力は欠かせないものなのです。
次に、もうひとつ確実に双方が理解していなくてはならないことがあります。その障害を持った子供の保護者が、スカウティングに何を求めているのか、スカウト運動をきちんと理解してくれる取り組みをしているか・・・です。これは大切なことです。保護者としては自分の子供に良い環境を与えたいと切に願い、スカウティングに期待を寄せてこの門を叩いているからです。
私たちはスカウティングの理想に向けて活動をしている訳ですが、決して万能ではありませんし、ボランティア故の限界があります。また、スカウティングについてきちんとした理解がないままに受け入れてしまうことは、その後に何かしらの食い違いやら事故・トラブルがあった場合、双方ともに傷つくことになってしまいます。スカウティングが、何を目的にし、活動目標をどのようにもって、どんなシステムと方法で活動を行っているのか、そして「与えてくれる」のではなく「自らで獲得していく」ための運動であること、それを指導者だけでなく保護者たち成人が一体となって支援していくものであることを、きちんと理解してもらうことは必要です。その上で、その保護者と指導者、そして他の保護者の理解と協力があってこそ、双方が生きる活動ができるものと思います。もし、その保護者が、その障害の隠しておきたいと言うのであれば、受け入れは難しいのではないかと思います。
「カブ隊としては受入OKなので入隊しました。でもボーイ隊では受入態勢がとれないので上進はお断りします・・・・・」では、あまりに身勝手です。保護者と話し合って、限られた期間で・・・と言う場合もあるでしょうが、活動しているのはそのスカウト本人です。本人がボーイ隊に上進したいのに約束だからダメ!!では、それこそ何のための運動なのでしょうか? たとえ本人が了解済みでカブ隊に入ったとしても、その約束をした時は、いったいどれだけのことを理解した上で約束をしたのでしょうか(カブ隊の「やくそく」とは別な意味での約束です)。
ローバー隊を卒業するまでの団としての責任を考え、それを実行する団の体制整備を責任を持って実施できるのであれば(今すぐではなくてもかまいません。スカウトの成長とともに整備すればいいんです)、是非とも受入をしてください。そのスカウトとともに、我々成人指導者も一緒に成長していきましょう(これは、健常児のスカウトを受け入れる場合と全く同じですよ)。団の指導者、スカウト本人、その保護者の3者で、それぞれどう関わっていけばいいのかを、しっかりと認識・確認した上で入隊されることが大切です。
指導者・団委員としては、団のスカウトたちとその障害を持つスカウト、どちらも「win-win」の関係が築けるような団・隊づくりと、上進してからの継続性を十分に考え、団の育成会(スカウトの保護者)の理解と協力、そしてそのスカウトの保護者が安心して信頼して子供の障害のことを話せ、託せるような環境を作ることは、是非実現しなくてはなりません。これは、団や隊にとって、決して負担となるものではなく、「心を育てる」という部分での本来のスカウティングの在り方に近づくものである・・・ということもご理解いただきたいと思います。
【2007.05.21 担当コミ】
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Q10:アワードの効果的な授与の方法
ゲーム等の勝者にあげるアワードですが、どのように授与することがいいのでしょうか? また、アワードの位置づけと意味もおしえてください。 (F.F ACM)
まず、アワードの位置づけですね。
①「何のためにあげるのか」
②「どんな効果をねらってあげるのか」
です。
①では、スカウトの努力とその結果を認めてあげること。
がんばった→認めてくれた→ほめられた→嬉しい→次もがんばるぞ
という、スカウト自身のモチベーションを上げること、次に繋げること、意欲を高めること、個人の進歩
につなげるためです。
②は、カブでは「組」という単位での活動になりますから、
協力する心、組を引っ張る気持ち(リーダーシップ)、それについてがんばる気持ち(フォロアー
シップ)、そして、組としてのモチベーションのアップ・・・・
すなわち社会人としての良い芽を育てることにあります。カブ隊の「やくそく」にもつながります。
これらの効果をねらうには、もらえるかもらえないか・・・のドキドキ感と、勝って、もらえると思っていたのにもらえなかった・・・・どうしてだろう? と(単に勝つだけでなく、そこには何かが必要であることを)考えさせて、そこで出した結論を実践に移せる機会を提供して、良いと思ったことは「すぐにやる」という意識に繋げてあげ、その意識を定着させることが大切なのです。
例えば、ゲームで勝ったけれど、そこに何の努力も協力も(要はカブの「やくそく」と「カブ隊のさだめ」の実践)なかったら、あげない方がいいですね。
そこで、あげられない理由を伝えてあげて、次への改善のアドバイスをしてそれを促す。その後の活動で(同じ日の活動でも、次の活動でもいいですね)改善が見られたら、タイミングを逃さず今度はアワードをあげるに至った理由(基準)を明確に伝えて、そこに至るのまでのプロセス・努力を讃えてあげてください。
このように、アワードは、ただあげて満足させるもの(賞品)ではなくて、子供達の競争心を利用した教育のひとつのエサ(言葉は悪いですが)・ツールなのです。ですから、そこには教育的効果・効用がなくては意味がありません。
そのような理由から、乱発はよろしくありませんね。
また、①は個人が付けるアワード、②は組旗につけられるアワードとして、それぞれ別なものを用意することもいいかもしれません。
ある隊では、隊集会でいちばん良い結果を出した組を「優秀組」として、持ち回りできる大きな優秀組章を作って組旗につけていました。隊集会の最後にそれを隊長に返却して、次の優秀組がそれを付ける・・・なんてことをしていました。
シンボル的に年間を通して継続的にそれを使うことで、隊全体の活動の向上に繋げていたようです。
毎回アワードを作らなくて済むといった別な側面もあったようですが。
カブの進歩記章に込められている意味合いも同様です。「もらってうれしい」「うれしいから次もがんばる」といった、努力に対して形(バッジ・アワード)として認めてあげ、達成感を味わわせ、次の取り組みへの意欲を持たせるためのものです。特に進歩記章は制服につけられるのですから、これらに加えてそれを着けてみんなに見せるといった顕示欲も満たしてあげ、それを個人の進歩につなげていく・・・んですよね。これはボーイスカウト独特の教育方法なのです。
ぜひとも隊の指導者全員で相談して、よい授与の方法をみつけてみてください。
【2007.05.18 担当コミ】
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Q9:スマートネスって何のこと?
先日、先輩である元隊長から「スマートネス」ができていないとの指摘をうけましたが、その意味がよくわかりません。 (Y.S ACM)
「スマートネス」とは「スマート(smart)」の名詞形です。スマート(smart)の意味は、(身なりが)きちんとした, 洗練された; 流行の; 気のきいた; 鋭い, 強い; きびきびした; 活発な・・・という意味がありますのでそれと同義ととってください。
特にカブスカウトでは、昔からスマートネスをスカウト達のしつけの一環として取り入れてきました。「スマートなスカウトはかっこいい」といったイメージを抱かせて、きちんとした身なり、いつも気が引き締まっていることが◎であると意識づけてきました。この年代のスカウトには、まだまだ「しつけ」が必要な時期ですし、物事の善悪の判断についても、成人の指導に左右されます。ですから、この時代にスマートネスを身につけることは、スカウト精神を身につける第一歩となりますし、それが「ボーイスカウトはきちんとしている」という評価につながっていたわけです。
今は、個人とか個性とかが優先される社会傾向があり、このスマートネスが隠れてしまっているように思われます。ですが、カブスカウトでは、「自分のことは自分でします」というカブ隊のさだめにもあるように、自分の身なりは自分できちんとする、「いつも元気」のモットーにあるように、きびきびとした動作と活発な行動を心がける等、スマートネスが一つの行動指針として、その活動に取り入れられています。
ぜひ、皆さんの隊の活動をふり返っていただきまして、このスマートネスはどうであったか、をご確認ください。
【2006.09.25 担当コミ】
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Q8:大輪のときデンリーダーはどこにいたらいいの?
大輪に集合したときに、デンリーダーはどこに立っていたらいいのでしょうか。また、カブコールの時はどうすればいいのでしょうか? (N.K ACM)
隊長ハンドブックの後ろの方「セレモニー」のところに、1つの例ですが大輪の状態の図があります。
これを見ると、デンリーダーは組長の後方に立つことになっています(そうなると1組のデンリーダーは、スカウトとリーダーの間に立つことになり、ちょっと立ち辛いですね)。これには理由があります。
カブの開会セレモニーは、大輪(円形)に集合してカブコールで始まります(U字や縦隊は使いません)。カブコールは、隊長とスカウトだけで行います。デンリーダーやデーンコーチはそれには加わらないのです((理由は??? 気をつけの状態でその場で待っています)。カブコールは、隊長が「りす」と呼ぶとりすスカウトが呼応し、「うさぎ」と呼ぶとうさぎスカウトが呼応して、みんな集まって今日も楽しくやろうと仲間が揃ったことを互いに確かめ合うものです。
さて、ふだん組長は「組旗」を持っています。ですが、カブコールをするときには邪魔になってしまいますよね。そのときさっとデンリーダーがその組旗を持ってあげるのです。そのために組長の後ろに立っている・・・・・・のではないでしょうか。他の意味もあるのでしようが、おそらく、大きな意味合いはこれだと思います。
【2006.09.25 担当コミ】
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Q7:スーパーカブはどうしていけないの?
当隊からスーパーカブをとりたいというスカウトが出ました。しかし、先の議論ではスーパーカブはスカウティングに反する的な意見が多々出されていました。スカウトが望むのであれば、それを叶えてあげるのも指導者のつとめだと思うのですが、スーパーカブの何がいけないのでしょう? (K.F CM)
スーパーカブ(全チャレンジ章の制覇。チャレンジ章の完修ではありませんよ。)は決して「いけない」ことはありません。ですが、本当にそれでいいのですか? とお聞きしたい。
カブ年代の「選択課目」の位置付けを考えてみてください。それはチャレンジ章をとることではなく、多方面に亘る課目を設定することで、スカウトたちの興味や好奇心、それに向上心といったたくさんの「種」を作る同時に、そのうちのいくつかについては、さらに発展させてそれを開花させようというものです。その動機となるものがバッジとしてのチャレンジ章なのですね。ですから、その目的とするところは、スカウトたちの潜在能力(って言っていいのかな)を引っ張り出して、それを伸ばすことにあります。
もし、スーパーカブになったカブがこれが満たしているのであれば、それは素晴らしいことです。ところが往々にして、目的が「すべてのチャレンジ章を取る」ことになってしまうのですね。単にいくつかの細目をこなせばいい、になってしまう・・・ことはどんなものでしよう。確かに制度上は、それで「章」を得ることはできます。しかし、スカウト運動の目標は「個人の資質を伸ばし、社会に貢献できる人に育てる」ことであり「心を育てる」ことにあります。 いくらカブという年代であったとしても、チャレンジしてお終いではなく、その先に待っている素晴らしい世界を知る喜び、そして自信を得ることの大切さ、そこに到達した仲間同士の絆を体感することは、とても大切なことだと思います・・・・というか、それがスカウト運動の大きな魅力になっています。
また、それを知っているか否かで、ボーイ隊、ベンチャー隊での活動への取り組み方が大きく変わってしまうことにも繋がります。
「やった」からもらったチャレンジ章ではなくて、「知る楽しみ、得る楽しみ、そしてそれを使う(活用する)楽しみ」を伴ったチャレンジ章であってもらいたいですね。
【2006.09.05 担当コミ】
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Q6:修得課目を全部履修できないときの措置
集会のスケジュールが狂い、修得課目のいくつかを集会で履修することができなくなり、完修ができなくなりました。そんな場合の措置について教えてください。 (S.O ACM)
原則から言えば、今後の集会プログラムの中に組み込むか、別途「集まってくる間」等の隊集会前後の時間にするかになります。
ただ、スカウト運動は学校や塾ではありません。いくら修得課目が必修としても、必ず全部を履修しなければクリア章を授与できない・・・・と固く考えないでください。確かに修得課目は、その年代のスカウトが身につけるべき事項を表したものです。それを全て履修する、そんなモチベーションをスカウトがもつよう指導することは大切なことです。しかし、何らかのトラブルにより履修ができないモノがあったら、クリア章もチャレンジ章もとれなくなってしまう・・・・子供にとって、これはとても重大なことですよ。
さて、スカウト運動の目的をここで再度見てみましょう。Q2とQ3を読んでみてください。「社会に出て役立つ資質を身につける」ことがスカウト時代に行うことですね。この目的を違えることなく、また隊の全てのスカウトに公平なチャンスが与えられるのであれば、また、Q2でいう「良い性格」の気づきを促すことができるのであれば、他の活動をすることで、その課目の認定に代えることは緊急対応としてかまわないと思います。
ただし、これはあくまでも隊集会が流れて、予定していたプログラムができず修得課目の履修ができない・・・・場合のやむを得ない措置であって、それには、隊長の判断と他の指導者や保護者の理解を得ること、そして、スカウト達への十分な説明を欠くことはできません。できれば、指導者の支援のもとでスカウト自らがその代わりとなる活動を考え、それを実行することができれば(自発活動)、それにこしたことはありませんね。どんな活動がふさわしいか・・・は、隊の指導者で話し合ってみてください。
【2006.04.12 担当コミ】
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Q5:「りす」はどこからきているの?
また変な質問で申し訳ありません。「うさぎ」「しか」くま」の由来はわかりました。では「りす」はどこからきているのですか? また、名前はあるのですか? (N.F JACM)
「塗料センター」>>>「資料文献ライブラリー」に掲載されている「足がら山物語」は読まれましたか? なかなかのお話ですよね。
さて、この物語でいちばん最初に「りす」が出てきます。臆病であわてものというキャラクターで。そのため「カブスカウト」になる準備をしている子供たちを「りす」としたのでしょう。(カブになるとしっかりするというイメージがあるのでしょうね)。で、名前はないようです。
【2006.04.12 担当コミ】
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Q4:どうして「カブ」っていうの?
基本的な質問で申し訳ありません。カブスカウトの「カブ」ってどういう意味なんですか? (N.F JACM)
カブスカウトのカブは英語で「cub」と書き、動物(特に肉食獣)の子供のことを言います。ちなみに組はカブの巣を表すデン「den」、隊はパック「pack」と言っています。(極希ですが今も地方の宿舎等に泊まると「下部スカート」と表記されている時があり、思わず苦笑してしまうことがあります。)
カブスカウトは、ベーデン・パウエル卿(ボーイスカウト運動の創始者)がスカウト未満の子供達のために考えた「ウルフカブ」が始まりです。それは、Q2にも出てきましたがキプリング作の「ジャングルブック」をバックグラウンドに展開されています。トラにさらわれた少年モウグリが狼の群で狼の兄弟達と逞しく育っていく物語です。ウルフカブでは隊長は群の長である「アケイラ」、副長は「バルー」「バギーヤ」などとジャングルブックの登場人?物の名前を使っており、カブ、デン、パックといった言葉がそこに使われました。
ウルフカブでは、カブたちはスカウトではありません。あこがれのスカウトになるために訓練・活動をするという位置づけでした。これがアメリカに渡ったとき、そこではカブも1スカウト仲間として扱うことにしたため「カブスカウト」が生まれました。日本は戦後アメリカの影響を強く受けていますので、カブスカウトが採用されたのです。
また、当時の日本では「狼」は悪者の象徴でした。そこで、古くから親しまれていた「金太郎」をベースに「足柄山物語」をつくり、その登場人物である、うさぎの「ヤト」、鹿の「ジロッポ」、クマの「月の輪」が各課程のシンボルとなったのです。(この「足柄山物語」は作者が執筆途中で亡くなられたため未完成とのことです。)
ウルフカブス・ハンドブックも足柄山物語も以前は冊子として日本連盟で販売されていましたが、現在は絶版となっています。ですが、県トレーニング・チームの協力でこのホームページの「ミュージアム>>>資料文献ライブラリー」に掲載してあります。是非読んでみてください。
【2006.04.08 担当コミ】
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Q3:どうしてボーイ隊に上進しないと意味がないのでしょうか?
カブの隊長から「ボーイ隊に上進しないとボーイスカウトに入った意味がない」と言われました。それはどうしてですか? (H.G DL)
さて、この運動は誰のために何のために行っているんでしょうか。また、スカウト運動の目的は何なのでしょう。
日本連盟の教育規程の第1条にこうあります「青少年がその自発活動により、自らの健康を築き、社会に奉仕できる能力と人生に役立つ技能を体得し、かつ、誠実、勇気、自信および国際愛と人道主義をは握し、実践できるよう教育することをもって目的とする」と。
この教育は、一生涯続くものなのですが、スカウトたちにはその青年期にスカウティングの最終的な教育目標が達成されるように、幼年期のビーバー部門から青年期のローバー部門までの5つの部門に順に進級することと、それを段階的かつ一貫した方針と成人の指導の下で行うことで、成果が上げるよう部門が設計され、組み立てられています。そして、その部門のスカウトの年齢特性に応じたプログラムが提供されています。
もちろん1つの部門だけでも、それ相当の結果はを生み出すでしょうが、それは非常に限られた成果でしかありません。言い換えれば、ローバースカウトを卒業する時にようやくこの運動が目指す「成人」が育ち上がるのです。そこを目指してカブ、ボーイ、ベンチャーと進むにつれて、だんだんと大きく・広く・深い能力と高い志、そして強く逞しい精神を身につけられるよう、指導者は環境を整え、チャンスを与え、人的ネットワークを駆使して彼らの成長を促し、支援していきます。
人の成長ですから、短期間でその成果が現れるわけではありません。スカウト達が楽しみながら、必要かつ十分な能力が培われるためには、それなりの継続した十分な時間が必要となります。ですから、自分自身の成長に責任をもちながら、更に上のステップへの「上進」を目指ことが大切なのです。
そのため、そのカブ隊長は「ボーイ隊に上進しないとボーイスカウトに入った意味がない」と言ったのではないでしょうか。正確には「ローバーまで続けなければ・・・」ですね。
【2006.04.06 担当コミ】
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Q2:カブの「組」とボーイの「班」はどう違うのでしょうか?
カブ隊の組とボーイ隊の違いはどこにあるのでしょうか。デンリーダーがいるいないではなく、本質的な部分の違いを教えてください。 (T.N DL)
カブの「組」とボーイの「班」とでは、そこに求めているものが全く違っています。環境を整えてもらって成人の指導・支援を受けながら資質を伸ばす活動していくのがカブの「組」。自治組織として自らの関わりで良い環境を作り上げ、それを班の一員として自ら運営していくのがボーイの「班」・・・と思ってください。
それでは、カブの「組」とそのはたらき・役目について詳しく説明します。
前述で「環境を整えて」と書きましたが、ではどんな環境を整えてあげる必要があるのでしょうか?
まず、異年齢のスカウトからなる「小グループ」となっていることが大切なんです。その小さな社会の中で、集団のルールを守ることや、自分の位置づけや在り方を考えること、分担された役割を責任もって実行すること、みんなと協力すること・・・等を学んでいく場と機会という「環境」を作ってあげること、それを楽しく行うことができるように工夫(=プログラム化)するのが隊指導者の役目であり、そこでスカウト相互の関わりの支援をしていくこと、家庭と密接に連絡をとって、スカウト活動で学んだ「良い習慣や精神、知識や技能、感動や情緒・愛情等(=これを良い「性格」と言っています)」の定着を促すことがデンリーダーの大きな役目なのです。集会だけでは定着は不充分です。家庭で保護者の下で、意識的な随時のかかわりがあってこそ定着が図れるのではないでしょうか。そうです、デンリーダーには家庭と隊をつなぐという大きな役目があるのです。
さて、「カブ隊のさだめ」の順番をもう一度みてみましょう。この順番は変えることができません。それは、スカウトがカブ隊という小社会に入ってそして成長していくに従って、実行(実現)できるように順序だてて組み立てられているからなのです。そんな相互影響の場としての組集会である必要があります。単なる隊集会の準備の集会ではないのですね。
スカウトのちかいは「自分と神」との個の関係として捉えることができます。ですから、前述したように「自らの責任で関わっていく」のです。では、カブはどうでしょう。「ちかい」に対して「カブ隊のさだめ」となっています。「カブ隊の」が付いています。ということは「自分と隊」との関係、言い換えれば「集団の中での自分の在り方」としての関わりなのです。子供の成長の度合いを踏まえての成長に応じた関わり方を示している訳ですね。
このことは、キプリング作の「ジャングルブック」を読むとよくわかります。ジャングルの掟、群の定めを守ることの大切さ、そして守らない者がいたとき、そこに起こる災いは、その者の所属するグループが被る・・・ということが。カブの活動は楽しくためになるばかりでなく、体や心の成長の健やかな成長を促進し、社会生活で必要な協調性、リーダーシップ・フォロアーシップを育てるといった効用もさることながら、その一方で忘れてはいけないことに「しつけ」があります。組の一員として自分はどのようにしなくてはならないのか・・・、それは、仲間と心から仲良くなる術であり、自分を律することの大切さであり、自立する事の大切さであり、仲間と力を合わせてひとりではできないことを成し遂げる喜びの気持ちを知ることであり、良いと思ったこと・正しいと思ったことを実行できる勇気であり、弱い立場にあるものを労る気持ちであり、そして人の行動を予測して先回りして行動する「観察と推理」等々、それをこのカブの時代に身につけるべき良き社会人の資質、それが「カブ隊のさだめ」として表れているのですね。
【2006.04.05 担当コミ】
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Q1:カブラリーっていつあるのですか? どうして4年に1度なのですか?
今度のカブラリーは、いつどこで開催されますか? また、カブは3年間しかないのに、カブラリーは4年に1度なんですか? 参加できないスカウトが出てしまいます。 (T.H DL)
まず、最初の質問から。今度の第12回カブラリーは来年・平成19年の秋頃に実施の予定です。場所は未定ですが、日立市(神峰公園)と牛久が候補地の名乗りを上げていると聞いています。
次に、「4年に1度」の件ですが、過去の県連盟の事業計画からそうなっているだけです。カブラリーは4年に1度実施するという規定はないと思われます。しかしながら、この様な大会を実施するには多くの人と時間が必要なのです。茨城のスカウトが関わる大きな大会と言えば、全国規模では、日本ジャンボリー、ベンチャースカウト大会。県連規模では県キャンポリー、カブ・ビーバーラリー、の4つがあります。この4つを1年に1つずつ行うことでビーバースカウトからベンチャースカウトまでの全ての部門のスカウトに大会への参加のチャンスがあるように配慮しています。一方、現在の県連の人数では、これ以上の大会を開くゆとりは残念ながらありません。ご理解ください。
だから・・・というワケではありませんが、6年前の笠間で実施された第10回のカブラリーから、ビーバーラリーがいっしょに開催されるようになりました。これはビーバーの大会がなかったことによるものですが、これによってビーバースカウトから入っていれば、カブラリーを味わうことができるチャンスが生まれたということも意味しています。歯切れの悪い回答で申し訳ありません。
【2006.04.05 担当コミ】
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