Q1:ターゲットバッジのつけ方
ターゲットバッジの付け方についての質問です.ターゲットバッジは,制服の右袖に付けてはいけないのでしょうか? 数が少ないうちは,右袖につけていてもいいのかと思っていましたが・・・・? (D.S ASM)
ターゲットバッジはタスキに着用します。
日本連盟規定集の8-10-1制服・ボーイスカウトの記章一覧表の(4)ターゲットバッジ、(5)マスターバッジ、(6)技能章の着用部位に「タスキに着用する」とあります。これによるとボーイ部門で取得した「技能章」についても「タスキに着用する」ことになりますが、技能章については、従来通りに制服の右袖につけてください(最上段の技能章は、その上端が肩のラインから11cmのところになるようにつけます)。
ターゲットバッジは特修章に比べて約4倍に種類が増え、また3つの細目に合格すればバッジがもらえます。これはスカウトの目を多方面に向けると同時に、幅広いニーズを進歩として取り入れ、かつ章を取りやすくすることでバッジシステムのより効果的な活用を狙ったものです。不適切な言い方ですが、右袖だけでは足りなくなるのが「ふつう」という意識があり、タスキへの着用へとつながったのではないでしょうか。また、ターゲットバッジは「アイロンプリント」になっているとのことです。タスキには横1列に4つのターゲットバッジを付けられます。現在、「ハウディスカウト」>>>「WEB保護者の会」コーナーに「制服・記章」のページを作成していますので、そちらに詳しく掲載します。ご参照ください。
技能章は、ボーイ隊でも取得することができますが、基本的にはベンチャー隊の進歩プログラムです。従来は菊章への進級に技能章が必要でしたが、今はその課目は無くなりました。これはあくまでもボーイ隊ではターゲットバッジ・マスターバッジの取得を最優先にするということです。また、技能章にチャレンジすることができるのは2級スカウト以上に限られます。
ここで重要なことは、効果的な「バッジシステム」の活用です。スカウト運動におけるバッジシステムとは何かをご確認いただき、そのねらいは何かを外さないようお願いします。
【2006.04.25改 担当コミ】
Q2:ベレーとハット
スカウトのOBです。最近、スカウトがベレーを被っている姿を良く見かけますが、今はベレーが制帽となったのでしょうか? 昔ながらのハットは被らないことになったのでしょうか? 見ていて寂しい限りです(T.O OB)
平成3年の組織・制度改定?の一環として、ボーイスカウトの制服がモデルチェンジし、スカウトの象徴であった「ハット」も「ベレー」に代わりました。申し訳ありませんがその経緯につきましては把握しておりません。ただ、ハット自体は現在も(サイズが限定されていますが)販売されています。それは隊が定めた場合に限りハットを「副帽」として着用することができるからです。あくまで副帽ですので隊活動時に限られますが・・・。
ボーイスカウトは「運動」です。ですから時代とともに時代に対応しながら変化をしていきます。伝統ももちろん大切ですが、我々の伝統は姿形ではなく、脈々と受け継がれるスカウト精神であり「ちかい」と「おきて」、そしてすべてのものを慈しみ愛する心ではないでしょうか。ご理解をお願いいたします。
【2006.04.07 担当コミ】
Q3:男子だけの班、女子だけの班の是非
現在、男女混合の班で活動しています。しかしながら活動が男子だけの時に比べてうまくまわりません。余計なことに時間がかかってしまいます。また、テント等の設備も班に男女2セット必要になってしまいます。そこで相談ですが、男子だけの班、女子だけの班での活動はどんなものでしょうか、また、県内でそのように班分けしている隊はありますか?(Y.M ASM)
男子だけ,女子だけの班をつくっている隊については,ボーイ隊については調査していません。あまりないと思います。
男子だけ,女子だけの班を編成してはという点については,コミッショナーとしては反対です。
ボーイスカウト活動はそもそも「教育」ですから,隊の中に男女がいれば,その中での役割分担のもとにスカウトが相互に成長することを期待しています。男女の性差や能力差,年齢差すべてが教育に関係する要素だと思ってください。
男女に班を分けるというのは,指導者側の「効率」や「指導しやすさ」からの判断で,「子供たちのため」という視点ではどうでしょうか?
設営に時間がかかったり,指導に時間がかかる点は,教育のための必要な「コスト」と認識して,余裕のあるプログラム展開を隊指導者が心がけるようにすれば良いのではないでしょうか。
【2006.04.07 担当コミ】
Q4:動機付け・・・
B−P卿の言葉の中に、
「それから、ボーイスカウトの訓練には最も重要なねらいがある。それは教育することである。教え込むのではなく、いいかな、教育することなのだ。・・・。」
とありますが、スカウトの導きをするのにあたり、動機付けってどのようにしてあげると良いのでしょうか?(H.N SM)
スカウトに興味を持たせる事、そのためには隊長がそのチャンスを作ってあげる事です。
自ら見せ、スカウトにやらせるのもその1つです。
兎に角やりたーいーーーって気持ちを起こさせることでしょうね。
【cf.: education: 教育。才能を引き出すこと。 instruction: 教育。教え込むこと。】
【2006.04.17 県コミ】
Q5:何で、この時代に家型テントなんでしょうか?
この前、地区の先輩?指導者から、「何でドームテントを使っているのか、ボーイ隊からAテンだろ!」と言われました。どうしてこの時代に家型テントなんですか? (K.I ASM)
Aテンかドームか。この議論はいろいろなところで聞こえてきます。「安心して眠る」という点ではどちらも甲乙付けがたいのですが、テントを建てる(立てる)という点、使用勝手においてはずいぶんと見解が異なってきます。ポイントは何を目的にしてキャンプを行うかになります。その前に、ボーイスカウトでは「なぜキャンプ行うか」を考えなければなりません。B-P卿は最後のメッセージでこう言っています・・・
神様は、一生幸福で楽しく暮らせるよう、私たちをこの世界に送ってくださったのだと私は信じています。幸せというのは、お金持ちになったり、単に仕事上で成功したり、思い通りのわがままができることではありません。幸せになる第一歩は、子どもの間に健康で強い体にしておくことです。そうすれば、あなたがたが大人にな時お役に立つことができ、人生を楽しむことができるのです。
自然研究というものは、この世界が、美しいものや素晴らしいもので満ち満ちていることを教えてくれるでしょう。それは神様が、そういう世界をあなたがたが喜んで受け入れるように贈ってくださったことを示しています。あなたがたの得たもので満足し、それを最もよく生かすようにしなさい。」
このように「健康」「情緒」「協調」「観察」「推理」「発見」「驚嘆」「感謝」「素直な心」「自発性」・・・・等を素晴らしい自然から得なさいと言っています。それに気づくこと、感じること、意識すること、そして育むことができるのが自然の中で過ごすキャンプです。
また、「班」は人を分けるという意味の他に、仕事を分けるという意味があります。班員各自が自分の分担された仕事を責任をもって実行する、または実行するために努力する。それで班に貢献でき、そして班のレベルが上がっていくことで、他の班との競争に臨む・・・ことは、子ども達の特性を活かした教育方法であり、それが社会人としての基礎の意識を築いていくことは十分に承知していると思います。その効果が顕著に表れるのが班のキャンプなのです。班長のリーダーシップ、班員の任務に対する意識と責任感、班としてのモチベーションと団結力。そしてライバル班の存在。このような環境をどう整えていくかが隊長&指導者の腕の見せどころです。
キャンプでは、実に多種多様な作業があります。居住環境をいかに快適にするか、食事をいかに美味しく作るか、それらをより良いものにするために考え、工夫し、何度も実行して確実なものにしていく。そのプロセスを経験することができるのがキャンプなのです。
さて、Aテンかドームか。それぞれメリットがあります。Aテンは重いし、張るには知識と経験が必要です。どうやって運ぶかを考え、立てる時には、その構造や張力、地面の状態、風向き、雨水の流れ、動線の確保などいろいろなことを即座に判断しなければなりません。そこには先輩から後輩の技術の伝授もあるでしょう。Aテンを張ること自体が教育活動になりますね。だけど、高価だし雨が幕布にしみこむとメチャクチャ重い。それに構造上、移動は困難ですね。
ドームテントはどうでしょう。確かに張るという行為ではAテンほどの教育効果はないでしょう。しかし短時間で簡単にしかも確実に立てられるメリットは大です。そこでできた時間を使って別な作業やプログラムが実施できます。しかも防水性はAテンよりもいいし、軽いし、メンテナンスも楽だし・・・・何より高機能で安い!!
要は同じキャンプでも、それぞれ目的があるはずです。その目的を満たすためには、どちらのテントを選ぶのが良いかということになってくるのです。単にキャンプそのものが目的であれば、ためらわずにドームテントになってしまうでしょうが、我々が行っているのはスカウトのキャンプです。そこにAテン・ジャンテンがまだまだ現役の座を退かない理由があるのです。
【2006.06.11 担当コミ】
Q6:菊に『奉仕実績」は必要でしょうか?
菊章の申請をしたところ、「奉仕歴」がないということで、申請書が返ってきてしまいました。菊に「奉仕歴」は必要なのでしょうか?(T.M VM)
おそらく、申請書を見たのはコミッショナーと思われますが、「奉仕」をするということはスカウティングにとって非常に大切というか、奉仕がなければスカウトではない、と言ってもいいくらい、スカウティングにおいては重要なことであるのです。
スカウティングの4本柱は覚えているでしょうか? 「人格」「健康」「技能・知識」そして4番目が「奉仕」です。単に「奉仕」とありますが具体的には「奉仕を通じての実践」です。
1級スカウトまでであれば、この視点よりも1番目から3番目までの自己開発にまだまだ重きをおいてもかまわないでしょう。しかしながら、菊スカウトというボーイスカウト時代の最高進級であれば、それまで自分が培ってきた能力・資質・技能・知識を自分以外のものに対して役立てるか・・・という観点でのスカウト活動(自発活動)が求められます。その点に対しての実行の確認のために一旦戻されたのではないでしょうか。
これは進級課目の「菊章」というよりもスカウトとしての在り方、何のためのスカウティングかという観点ですね。
「奉仕」というと、つい大会の奉仕に直結しがちです(もちろんそれも必要です)が、ここで言う奉仕は、もっと身近なところのものも指しています。
ここで言う「奉仕」は、町内のゴミひろい、寺社の境内の清掃、子供会の手伝い、学校の生徒会、駅の駐輪場の自転車を揃える、募金活動でもいいでしょう。要はスカウト自分自身が「地域の人々が気持ちよく社会生活を送ることができために」という意識を持ち、それを自分としてどう捉え、どの様に実行に移すかを考え、今まで培った「人格」「健康」「技能・知識」を活用して、自発的かつ継続的に実践していくものを意味しています。そうです「ちかい」と「おきて」の実践そのものなのです。そういう視点で見れば、スカウトですから、当然何らかの奉仕活動はしているハズです。それを記入してください。
スカウティングは、「己を高める活動」がメインであることは違いません。それは内なる活動です。それと同時に、培ったことを社会に対して表していく外への活動がカブの年代から徐々に取り入れられていると思います。これは一歩進んだ「LEARNING BY DOING」です。これもまた違った形での己を高めていく活動です。
ボーイの後半からベンチャーにかけては、外への活動をしながらそこで不足しているものを内なる活動で補っていく・・・ことを繰り返していけるよう制度そのものが設計されているのです。
「奉仕歴」が単なる奉仕の記録でないことがおわかりいただけたでしょうか。コミッショナーとしては、このような視点をもってそのスカウトのスカウティングを評価していきます。
指導者各位におかれましては、スカウト達が奉仕を「自発的かつ継続的」に取り組んでいけるよう、日頃からスカウトとのコミュニケーションを密にし、指導・アドバイスをお願いします。
【2007.02.28修正 担当コミ】
Q7:2級で指導者湯得したTBやMBは1級で取得したことにできるの?
ターゲットバッジ・マスターバッジですが、2級進級後相当数のバッジを取得している状態で1級進級したとします。そこで「菊」考査時に取得できるバッジがなくなってしまったため、2級スカウト時に取得したこれらのバッジ類を1級進級後に取得したことにしてよいのでしょうか。 (N.M ASM)
ターゲットバッジ・マスターバッジですが、2級進級後相当数のバッジを取得している状態で1級進級したとします。そこで「菊」考査時に取得できるバッジがなくなってしまったため、2級スカウト時に取得したこれらのバッジ類を1級進級後に取得したことにしてよいのでしょうか。 (N.M ASM)
進級に伴うターゲットバッジ・マスターバッジの取得については、たとえ2級時に数多くのバッジを取得してあっても、それを1級時に持ち越して取得したことにすることはできません。
したがって、2級でバッジを多く取得してしまうと、1級の取得が困難になる恐れがあります。しかし、現実的にはそれほど多くのバッジを取得するということは必然的に1級に進級することに直結しますから、起こりにくいことだと言えます。
ただ、得意分野のターゲットバッジを集中して取得してしまうケースは考えられます。しかし、各分野とも最低6つから9つまでのバッジを用意していますから、1級進級後でも取得できるバッジは残されているはずです。
要は、日々の活動の中で班長・隊長が計画的に指導し、進歩の考査を行っていれば、いつまでも2級にとどまったままバッジを取り続けることはないはずです。(逆に言うと進歩を日々おこなっていなくて、ある時期に集中して行おうとするから問題が起こってくるのでしょう・・・・)
これはあくまでも通常の場合の話です。もちろん、すべての指導者が進歩制度に精通してきちんと運用されるにこしたことはありません。
ここで注意していただきたいことは、万一、上記のことを指導者が認識しないまま(こんなことがあってはなりませんが)に、スカウトに計画性なく取得の指導をしてしまった場合です。上記をそのまま適用すれば、せっかく取得したバッジが進級に繋がらなくなってしまいます。そこで考えていただきたいのは、この「進歩制度」は何のために設けられているのかということです。そうですね「子ども達の知・心・体・技・徳の成長」を、促し励まして、かつ自ら「やってみよう」という能動的・自発的な取り組みができるように設けられたものですよね。学校の試験とは全く異なる位置づけだということを思い出してください。
「基準に達していないからダメ、認めない!」ではなく「もう少しだ、さあ、頑張って取り組んでみよう!」が、ボーイスカウトの教育です。我々指導者のあるべき姿でしょう。到達主義ではなく、努力のプロセスの結果を評価するのですよね。この評価は「減点法」ではなく、あくまでも「加点法」です。「ここまでできたから認めてあげよう」なのです。2級の時に取ったものは1級の考査ではそれを絶対に認証することはできない・・・・わけではありません。確かに進歩の基準を守ることは大切です。しかし、その進歩の基準は「スカウトの成長」を促すためにあることを忘れてはいけません。
万一(まんいちです)、このような事態が生じてしまったら、まず地区の担当コミッショナーと相談をして、是非とも進級に繋げられるよう取り計らってください。
これはあくまでも例外措置です。隊長としては、その責任において進歩制度を正しく理解するよう努めてください。このようなことを起こさないないために、ラウンドテーブルという指導者の勉強会があるのです。隊長はその責務としてラウンドテーブルには必ず参加してもらいたいものです。
【2007.07.13更新 担当コミ】
Q8:夜間ハイクを行う意義は?
ボーイ隊以上の部門では、当たり前のように夜間ハイクを行います。ですが、ボーイスカウト関係者以外の方より、「睡魔と闘い、体力の限界に挑戦し危険にさらされながら、何故そのようなことを行うのか」との質問がありました。夜間ハイクを行う意義って何なのでしょうか。 (K.S ABVM)
例えば、釣りが大好きに人にとって「釣り」をすることは意義のあることですが、全く興味が無い人にとっては、そこに意義を見つけることはできません。また登山が好きな人にとっては、山は登るものですが、登山に興味が無い人にとっては、山は見るモノかもしれませんし、杉花粉の温床でもあることから、かえって迷惑なモノであったりもします。
このように「意義」というものは、それを行う主体者がそれをどう捉えるか、その価値をどう見い出して受諾しているかであって、第三者がその人(主体者)にとっての価値を判断すること自体がおかしいのではないでしょうか。
ボーイスカウトの活動は、教育規程に明記されているそれぞれの部門の「活動目標」を組み込んだプログラムを行います。その活動目標を達成するための方法は100人いれば100通りの方法が用いられます。スカウトにとって「何が」「どんなことが」魅力的で好奇心をくすぐり、それをやってみたいと思うコトなのか、それらは、指導者とスカウトの関わり、隊の雰囲気・意識などによって異なります。
スカウト活動は、指導者やスカウトがプログラムの種(提案)を投げかけ、それかスカウトの注意を引き、好奇心を起こさせ、それから具体的に「あーしたいこーしたい」→「こうなりたい」というニーズに発展し、次にそれを価値ある結果(その1つが「活動目標」)に繋げられるよう「企画」「計画」そして「準備」を経て、実際に行っていきます。最後に検証して、反省し、評価し、次回への改善策への提案としてまとめて1つの活動が完結します。つまり目標が達成されるわけです。
この目標を達成することに意義(価値)があるわけですから、その方法が第三者からみて「睡魔と闘い、体力の限界に挑戦し危険にさらされながら、何故そのようなことを行うのか」と映ったとしても、このような説明をすれば、一定の理解が得られると思います。その第三者の方は、このスカウティングの意味が理解されていないわけですから、理解していただけるように説明することが大切なのではないでしようか。
スカウティングに関わる指導者であれば、このスカウティングの原理・目的・方法という基本原則をよく理解されて、説明できることが望まれます。よろしくお願い致します。
【2014.05.31 担当コミ】